描写力

子どもが描くような絵を描く大人がいますが「そんなのチープですよ」と、心の中で思ってしまうコドモの自分がいます。ちょっとひねくれものなので、語弊のある言い方ですが、形がいびつだったり線が足りないような絵を絵として認めることが出来ません。


最近あるきっかけで、「作品を作る上で最も大事なのはやはり描写力だ」と改めて思った。それは平面にも立体にも言える。描写力は、写実的に描き起こす技術だけでなく、目が良いかどうか(目利き)も関係していると思う。「観る:描く=10:1」とよく言われるけれど、つまりモノを描く(作品を作る)とき、自分を取り巻く世界をどう観ているかという "観る能力" が問われている。何事もよく観察しなければ、独自の世界観なんて生まれない。例えば同じ課題をやっていて、デザインが人と被るなぞもってのほか。それは与えられたモチーフを良く観ていないか、引き出しがないか、考えていないか。やはり手成りから生まれるものの儚さよ...とか思ってしまう。モチーフを簡略化した形が嫌いなわけじゃなくて、モチーフからの抽出におけるオリジナル性を追うことを安易な工程で賄ってはいけないよ、という、これは半ば自戒である。実は上記の教えを、予備校時代に中谷さんという講師がさんざん説いてくれた。大学に入って(極端なかたちではあるが)ようやく自分の身になりつつあるのを実感している。


世の中には二流三流の絵やデザインがはびこっていますが、プロとしてやっていくなら本物の手順を踏んで作品を生み出したいと思いませんか。私たちのような立場(例えば美大生)が一般のクリエイターと一緒になっていてはいけないと思う。予備校で何故あんなにデッサンの訓練をしたか、何故あんなに美大で基礎を多忙に勉強したかが活かされるといいなあって心から思う。私(たち)にしか描けないものがあるのだから、自分の描写力ってゆうのはもっと大事にしていきたい。