ボクらの時代。朝起きて、たまたまテレビをつけたら、座談会が始まるところだった。川上未映子×又吉直樹×山内マリコ。キャストが良過ぎて一気に眠気飛ぶ。



未映子。出産して失われる視線、特別な他者を持たないからこそ磨かれる眼の話。納得。人間は絶対に独りで居るほうが質が磨かれると思う。質とは研ぎ澄ますもの、いわゆる丸くなるとは形が変わる話で、違うこと。又吉。芸人という少しズレた職業を軸に、食事の仕方、散歩の仕方、生活すべてが少しずつズレてしまう話。それを正してくれるようなひとを求める気持ちがよく分かる。



一緒に観た夫は未映子が好きになったようで、試しに何か読みたいと言うので「ヘヴン」を差し出した。サイン会に行ったよ、名前書いてもらったよ、と表紙をめくって見せたら山口英子って書いてあって、一瞬、急に絶望が襲うというか、ああそうか単に苗字が変わるっていうか終わるんや。

                                         http://www.flickr.com/photos/28946036@N08/3914493244/


そしたらお母さんが持ってたお茶碗とお箸を机に置いて、わたしの顔をじっと見てね、こう言ったの。
『わたしはあの人が可哀想で結婚したのよ』って。そう言ったの。お父さんが可哀想だったんだって。
わたし、それきいてなんかちょっとびっくりしたの。


それで、しばらくふつうにご飯食べてて、
でもわたしやっぱりそれが気になっちゃって、食器片付けるときにきいてみたの。


『お父さんのなにが可哀想だったの』って。


そしたらお母さんね、『なにからなにまで可哀想だったの』って言ったのよ。


― via「ヘヴン」川上未映子