街、街、街

今日はバイトだけ。バイトだけって思っていたから、新潮社へ電話する用事を忘れていた。説明会のこと、明日は忘れないように。深い意味ないけど機会があるから行きたいと思う。ぼんやり負け惜しみ、片手間に。去年の選考は書類と作文が通って筆記で落ちた。筆記は解答用紙が便箋だった。素敵だった。字数も形式も自由。私は未映子について書いた気がする。


電車の窓から外を見ていたら、隣接する大きな駅ビルやスーパーの裏の壁面が眼前に流れて、マンション、学校、アパートと、次々に建物が過ぎたあとで、突然景色がひらけて、丘のようなところを走っていた。遠くまで小さな家々の屋根がたくさん見えた。一瞬で距離が広がると、ゴォーという高い反響音が止み、カタンコトンと静まり返って電車の速度がゆっくり感じられた。これは街。ふと「街」という一文字が頭に浮かんで、街だなあと感心しながら見た。駅ビル、スーパー、マンション、学校、アパート、街、街、街。そうしたら、頭の中から私の声がした。曖昧な返事をしてしまった。




わたし「普通に結婚して普通に子供産んで育てて、っていうほうがよっぽど文学的じゃないの?」
わたし「どうだろう」