頭おかしい霜月はじめ

あたらしい靴を買った。オッシュマンズ見てアスビー見て、黒いスニーカーを買った。じわじわ気に入ってきた。ひもの結び方を変えたらパーフェクトになった。黒に関しては三回連続で同じ靴を買っていたけど今回は久々に違うものを選んだ。定番になってゆくのはいいけど変化も必要さ、そんな不良みたいに考えて非行。合わないわけでも飽きてるわけでもなく、ただふざけているような。ずっと長かった髪もバッサリ切ったし最近本当にどうかしている。楽しくなってきたらアウトなんだろう。


午後から学校へ。芸祭の片付け期間ということで授業も無く、人が疎ら。荒木と菊池とマイマイが居た。テキ棟は校内でも僻地にあって、そもそも人の行き来が少ない。【卒制提出まであと◯日】という日めくりカレンダーが作業部屋に貼ってある。あと四十四日らしい。サーフェスの荒木が、大胆に赤い絵の具で筆描きして作ってくれて、結構大きくて目立つ。私の席は机がその壁に向いているから目に入る。小さく溜め息が出る。


今、マイマイに本を貸出中なのだけど、今日はその感想を言ってくれて嬉しかった。『八月の路上に捨てる』と『猛スピードで、母は』の二冊。おすすめ図書を聞かれると何でも貸してあげたい気持ちがする。たいした量を持ってるわけでも読んでるわけでもないが、近しい友達の図書館のようになりたいと思う。本のソムリエというのがあると言うが、そういうのじゃなくて。建物みたいに。


吉田修一を偏愛し過ぎておかしいから、そればっかり好きではいけないのかなと思って、ほかに良い作家がいないか最近ずっと探している。未映子は女流の殿堂入り。男流の首位争い最有力は長嶋有の気がして読んでいた。でも、長嶋有も、穂村弘森見登美彦沢木耕太郎伊藤たかみも、程度の差こそあれ、ちょっとなよっている。優しいというか、弱いというか。そんな気がした。その繊細さにホロッとするときがあり、一瞬、吉田修一を凌ぐけど、情が再燃して結局は吉田修一を超えない。こんなに天秤にかけてもブレないものはずっと好きなんだろうか? 吉田修一はキッカケのひと。変な気の迷いで嫌いになりたくない。