テキスタイル

私はどこへ行っても「テキスタイルの学生です」とゆうのを強調するくせに、自分の専攻の中身や将来性を、きちんと説明できないでいる。「テキスタイルって何してる学科ですか」と聞かれて初めに言うのは「布を織ったり染めたりしています」くらいで、そこから先が伝わらない。なんだか、言うに言えないとゆうか。たまびのテキスタイルは糸を紡ぐところから始まり、0〜100まで全て手で作ることを教えているので、突き詰めれば突き詰めるほどロハスな海。右手にイラレ、左手にフォトショでは、上手く泳ぐことができない。あまりに職人かたぎで、染織の技術を直接どう将来に結びつけるのかと言うところは難しい。けれど、糸を紡いで、自分で染め上げ、織って一枚に仕立て、染料でプリントし(シルクスクリーンetc)、形にする(インテリアetc)なんて、他ではなかなか勉強できない神業だと思う。


そもそも私が多摩美を選んだのは、染織作家を目指しているとかアパレル関係に就職したいからではない。テキスタイルのテの字も知らない頃から感覚的に捉えていた布に対する想いが強かったから、という以外にありません。畳の上に寝転がりながら、風に揺れるカーテンの裾を眺めるのが好きだったことや、太陽に当てた洗濯物の匂いが好きだった幼少時代の記憶が事の起こりで、あんな些細な出来事がずっとずっと私の心を掴んで離さないでいる。(こんなこと誰にも話したこと無くて、きっとこれからも言わないと思うけど)たぶん一生消化しきれないこの感覚を、"ライナスの安心毛布" の代わりに学問として体内に留めておきたかったから大学でテキスタイルを専攻した、とゆうのが真意です。


人によって大学の位置づけは様々ですが、こうして私にとって学問となった以上そこから派生してやるべきことや進むべきところがあるので、二年後テキスタイルと一緒にどう社会に出て行くか考えています。「あなたの軸となる切り口を学問で身に付けなさい」と、ある先生が言ったように、それが法学や数学や文学の切り口であったとしても、必ず応用の利く武器になり自分を助けてくれるはずだと私もそう感じています。自分の軸にテキスタイルを置いて固執する代わりに、向かって行く先は、出来るだけ幅広く見るようにしようと思っている。